ピアソンVUE を利用する受験者は、利便性や具体的なメリットのある受験/学習体験を期待しています。試験で良い結果を収めることよりも、それらの体験に大きな期待を寄せています。業界に関係なく、彼らはあらゆる製品やサービスにおいて、最後に経験した最高の体験と一致するエンドツーエンドの体験を期待しているのです。たった一度、不快な体験をしただけで、消費者はその製品やサービスをの利用を避けたいと思うのです。
消費者にとって体験が非常に重要である理由について、PwC が実施した調査によると、3人に1人 (32%) が、たった 1 度の不愉快なユーザー体験で、(好きなブランドであったとしても) そのブランドの利用をやめると回答しました。また、調査結果によると、さまざまな市場の製品での体験を通して、消費者は自分が理解されていると感じたいことも明らかになっています。世界中の 6,000 人以上の消費者を対象に行った調査によると、回答者の 76% が、よりパーソナライズされた体験を望んでいると回答しました。それにもかかわらず、回答者の 60% は、利用しているブランドでは、個々のニーズに対して体験の質が不足していると感じています。
では、このような受験者の期待に応え、キャリアや学習目標を摩擦なく達成できるような体験を、どのように想定し、構築すればよいでしょうか。また、ビジネスとして実現可能な消費者レベルの体験を提供するために、常に受験者のことを一番に考えた意思決定を行うためにはどうしたらよいでしょうか。
ピアソンVUE のカスタマー・エクスペリエンスチームは、受験者の満たされていないニーズを発見 (Discover) するところから始まるデザイン思考プロセスを用いて、こうした問いの答えを探しています。次に、受験者を深く理解し、受験者が一連の受験工程のどこで摩擦を経験しているかを把握し、現在の課題に対する解決策を考え、さらに検討すべき事項に優先順位をつけることで、摩擦から解放された受験工程を想定 (Envision)します。それから、変更された工程のプロトタイプ (Prototype) を作り、それを実際の受験者の受験体験で検証 (Test) します。このプロセスを、問題が修正され、受験者に提供したい未来のサービスを表すプロトタイプができあがるまで繰り返し (Iterate)、受験者による検証も行われます。このプロトタイプを North Star ビジョンの受験体験の青写真として利用し、次にこのビジョンを実現するためのバリュードライバーとイニシアチブのロードマップ (Roadmap) を定義します。

顧客体験 North Star ビジョンのアプローチプロセス
ただし、このプロセスは、単に顧客調査から得た情報を、体験を設計する意思決定に活用するだけのものではありません。このプロセスには、一連のデザイン思考の活動により共同で体験を作りあげ、関係者と寄り添う意味があります。このような共同作業中のやりとりにおいて、顧客の声を第一に取りあげて意思決定を行います。つまりこれは、数十人の社内関係者や何百万人ものユーザーからのフィードバックの迅速かつ有意義な統合、検証、優先順位付けを可能にするプロセスを活用することです。
私たちは、大規模な拡張を実行する際に活用したデザイン思考プロセスを、ピアソンVUE 全体の顧客体験戦略に反映させるために拡張しました。この戦略を実行した際、当社ではビジネス全体の各チームから代表者を集め、一連の共同作業とその他の活動に着手しました。こうした活動を総じて North Star ビジョン・エンゲージメントと称し、受験者のペルソナの定義、顧客インサイトの見直しと統合、受験工程の長所と短所のマッピング、受験体験を向上するためのブレインストーミングを行います。
North Star ビジョンの各エンゲージメントでは、ハイレベルなペルソナ、ビジネスモデル、配信チャネルに重点を置いており、既存の顧客体験の強みと課題、そして顧客体験を改善する機会に関して、チーム間の連携を図ることを目的としています。インスピレーションとして受験者の体験する摩擦や改善の機会を共有しながら、部門を超えた関係者たちを巻き込み、North Starエクスペリエンス・ビジョンのアイデア出しと定義付けにおける一連のデザインスプリントを行います。この共有されたビジョンは、次の課題の対応の基盤になります。課題は次のようなものになるでしょう。部門横断型のチームで連携して、このように共有された体験を構築するにはどうすればよいか?このビジョンの達成までの進捗をどのように測定できるでしょうか?エクスペリエンス・ビジョンを洗練し進化させることにおいて、機敏でい続けるにはどうすればよいでしょうか?
このように、受験者の現実の期待に応える体験を構築するためには、まず進化する受験者のニーズと期待を深く理解することから始め、その理解をもとに、意思決定のための North Star となる未来のエクスペリエンス・ビジョンを共同で作成します。ピアソンVUE のカスタマー・エクスペリエンスチームは、この North Star ビジョンを使ったアプローチで、受験者のための未来の体験を定義してきました。そして現在、全社のチームが連携して、そのビジョンの提供を始めています。また、受験者の North Star ビジョンのエンゲージメントを通じて得られた洞察に基づき、受験工程において受験者のストレスとなる摩擦を取り除く方法を模索しています。受験者は、彼らの人生において非常に重要かもしれない試験を予約し、受験準備をしているため、私たちは彼らの受験体験を改善し、パーソナライズするために、一連の重要なニーズと関連するソリューションを特定しました。それには、受験者の受験体験を構成するシステムとウェブサイトの調和を高めること、セルフヘルプと合理的なサポートを提供すること、試験準備や学習オプションへのアクセスを強化し、パーソナライズされた形で提供することなどが含まれています。
受験者に可能な限り快適な体験を提供するのが重要である一方、この作業には課題がつきものです。そして私たちはこうした課題は一人きりで克服するものではないことを知っています。PwC が実施したパンデミック前の顧客調査によると、調査対象者のうち 73% は、購入を決定するとき、顧客体験は重要な要素だと回答しています。さらに 43% の消費者は、利便性が向上するのであればもっと支払ってもよいと回答し、42% はフレンドリーで居心地が良いと感じられる体験に対してより多くの金額を払ってもよいと回答しています。パンデミックとその余波は、今や顧客体験への期待を高め、このことは受験者にも関係します。こうした期待と利害関係を念頭におきながら、私たちはこの重要な方針を維持し、学んだことを活かしながら、プロセスを進化させ、共創する未来の体験のビジョンへ向けて、この重要な道筋を着実に進んでいきたいと考えています。また、ロードマップと戦略を明確にし、顧客全体の体験の変革を継続していく道のりの一貫として、North Star ビジョンエンの追加の取り組みを計画することで、私たちは顧客のニーズと期待を常に第一に考えて取り組んでいます。
以下は、ビジネスにおける顧客体験の向上の際に検討すべき事項です。
- 顧客が期待する体験を定義、構築、維持するために、自社のプログラムやサービスはどのように機能していますか?
- 関係者をこの顧客体験のビジョンに連携させるために、どのように取り組んでいますか?
- このビジョンに到達するための取り組みの進捗を、どのように測定しますか?
- これまでに得た教訓はなんですか?