1. Pearson VUE での役割と経歴は?
私は Pearson VUE に勤めて 19 年になり、現在はプロダクトおよび戦略担当のバイスプレジデントを務めています。ソフトウェア開発者として 8〜9 年間、試験プログラムと受験者サポートのシステムのために多くのコードを書いてきました。ほんの少しのコードと、ほとんどのバグとでも言っておきましょう。
数年後、テクノロジーチームのリーダーとなり、その後プロダクト戦略チームのリーダーになりました。現在、私のチームの責務は既存のプロダクトに顧客からのフィードバックを取り入れ、開発チームと協力して新機能や機能強化を図り、また、将来の顧客層とマーケットが長期的な観点から何を必要とするかを予測することです。
2. 試験業界における特定の専門分野または関心は何ですか?
自身の経歴上、私はテクノロジーがいかに試験開発を多面的に改善できるかに没頭している、そう言っても誰も驚かないでしょう。登録やチェックインプロセス、新しいタイプの試験、またパフォーマンスベースの試験のようなエキサイティングな試験設計において、より良い受験体験に導くという点で、テクノロジーは試験プログラムと受験者に多くのことを提供しているのです。
私のチームは試験開発を時代の流れに沿ったものとして維持するために、教育や労働力開発における動向も観察しています。
3. 最近、Pearson VUE は新しいオンライン試験監督 (OP:Online Proctoring、以下「OP」と呼びます) システム、「OnVUE」をリリースしましたが、このプロジェクトにおける役割は何でしたか?
OP システムである OnVUE には、新規事業の立ち上げを担当するような専任チームがあります。OnVUE の立ち上げにおける私の役割は、新規事業のオーナーのように全てを把握しつつ、プロジェクトを前進させるために必要なことを何でもおこなうことでした。OnVUE のさらなる開発に顧客の視点を取り入れるべく、OP の利用を検討している認定団体と、この新しいサービスについて話をする日もあれば、その翌日には、難しい技術的問題の解決方法を精査するチームのサポートをするといった具合です。
4. なぜプロダクトチームは Pearson VUE の OP サービスを再考し、優先的に手がけたのですか?
当社の経営陣は私のチームに「オンライン試験監督における業界のリーダーになるためには何が必要か?」という課題を出しました。私たちは試験監督員による安全な試験監視を提供しながら、オンラインで最高の受験体験を生み出すことのできるサービスを計画して提示しました。OnVUE では、受験者の受験体験を一からすべて再構築することになりました。これにより、最新のテクノロジーと UX デザインを使って煩雑さを取り除き、受験者が最新のソフトウェアに期待するエクスペリエンスとインタラクションを生み出すことができました。OnVUE での受験体験はすべて真新しく、また OnVUE は今後もさまざまな面白い拡張や機能を追加できるプラットフォームとなっています。
5. OP を導入する認定団体のために、この新しいサービスをどう展開していきたいですか?
最終的に、Pearson VUE としての目標は、受験者と試験プログラムの独自のニーズを満たしながら、受験者がどこにいても認定団体が彼らを評価できるようにすることです。
私たちは、世界最大のテストセンターネットワークや業界最先端の企業所有のテストセンターと共に、認定団体が利用できるより優れた OP ソリューションである OnVUE を導入していきます。
認定団体は、高性能な OP ソリューションと他のすべてのコンピュータベーストテストの配信形式のどちらか一方を選択する必要はありません。Pearson VUEは、認定団体が配信を希望するあらゆる地域や受験者層に合わせて、配信形式を組み合わせて提供することができます。
6. 過去のオンライン試験の実施方法と比較して、なぜ OnVUE はエキサイティングな開発なのですか?
OnVUE では、管理者権限と複雑なインストール作業の一切を取り除きました。受験者は簡単なダウンロードをするだけで受験できます。私たちは、受験者が知識や能力を証明する場では、なるべくストレスを感じさせないプロセスを提供できるよう努めています。受験に対しすでに不安を抱いている時に、パソコンの操作などで苦労したくはないですよね。シームレスな受験体験をしたいという希望を、OnVUE なら叶えることができるのです。
さらに OnVUE にはセルフチェックイン機能も組み込まれています。これにより、AI や政府発行の ID 認証ツールを使用して受験者の本人確認と受験環境が検証でき、監視プロセスを維持しながら試験開始までの時間を短縮することができます。
7. OP の導入を検討するとき、試験プログラムについては何を考慮すべきでしょう?
私たちはいつも、テストセンターでの配信、OP による配信、または、認定団体による直接配信のいずれの場合でも、配信形式ごとに関連するセキュリティレベルとリスクが異なるということを認定団体に説明します。セキュリティと柔軟性についてだけでなく管理方法と受験しやすさのバランスの観点からも、このことについてよく話し合います。結果的に Pearson VUE のチームは、認定団体が試験プログラムに関わる特定の試験、受験者、リスクプロファイルに基づいてリスク管理するためのノウハウとサポートを提供しています。
特に OP について、受験者やパートナー企業のメンバーに「BYOD:Bring Your Own Device」(*1) 形式での試験の本質について啓蒙するよう、認定団体にアドバイスしています。OnVUE は受験者がどんな場所でも受験できることをこれまで以上に容易に実現できると自信を持っていますが、受験中に利用するコンピュータや操作に対して責任があるということを受験者自身が認識しておくことが重要です。こういったノウハウを共有し、技術的な質問や技術的トラブルを最小限に抑えることができるよう、私たちはサポートやツールを提供しています。
(*1) 個人の端末を持ち込み、業務などで利用すること
8. OP の将来をどのように考えていますか? コンピュータベーストテストの業界全体ではどのような変化が起こると思いますか?
OP の将来については、AI が以下の 2 つの方法で品質とセキュリティ向上に貢献する可能性が高いと見ています。
1つ目は、機械学習を活用することで、OP 試験を監視するための試験監督員のキャパシティが増えること。2つ目は、AI は、試験配信を通してより幅広いパターンを特定できるので、私たちが通常 OP 試験の監視録画を見ただけでは気づけない事実を取り込むのに役立つということです。
全般的に、AI は試験業界全体に受験者の能力の検証、そして受験体験の整合性を保証するための新しいツールをもたらしてくれるだろうと思っています。
多くの受験者にとって、受験したことで得られる最善の結果は、就職や仕事の継続、またはより良い仕事への転職につながることです。雇用可能性とスキル開発の重要性が増している昨今、認定や資格の未来は明るいと考えています。スキルや知識を実証する必要性は高まる一方でしょう。